The Science of Compassion by Stephan porges

SE(ソマティック・エクスペリエンス)のトレーニングで聞いて以来気になっている Polyvagal Theory (多重迷走神経理論) の著者、ステファン・ポージェス氏のスピーチを日本語に書き起こしました。

情緒や社会的振る舞いの背後にある神経系の仕組みと、それに対する介入の可能性についても話されています。

 

 

以下書き起こしです。

 

 

 

前置き省略

 

2:25

 

思いやり(Compassion)の神経の起源は哺乳類に固有なもので、これは自律神経系の爬虫類から哺乳類への系統進化的な変化に依存しています。ここから話しを始めたいと思います。なぜなら、人は哺乳類の中でユニークなだけでなく、系統進化的に古い爬虫類の神経系も共有していて、私たちが危険により防衛状態に向かうとき、その古いシステムを動員 (recruit) します。これが今日のメインテーマです。もし私たちが安全な場所にいて、防衛システムをコントロールできないなら、共感や利他主義などのコンセプトや、積極的な社会的振る舞いは生じることができません。

 

なので思いやりは判断的な評価、防衛底な振る舞い、古い系統発声的な神経回路を動員するような感情とは調和しません。古い神経回路が動員されている状態で私たちは思いやりなどの心理的状態に達することはできません。

 

最後に、私たちがよく学ぶ仏教などの代替の文化からきた精神的な健康を育む、瞑想、歌、傾聴、姿勢などの効果はこの共通の系統進化的変化による自律神経系の調整によるものです。実際、私たちはそれらのプラクティスを解体し、実際に彼らが何をしているのか説明することができます。彼らは私たちが落ち着き、社会的従事を可能にするこの新しい哺乳類の神経系を動員します。

 

これは短い要約ですが、私がよく言うのは、新しい哺乳類の神経系が働いていれば、落ち着き、積極的な社会的関わり、より深い心理的経験に至ることができ、本来の人間の側面を経験することができるということです。社会性、思いやりに限ったことではなく、生活全てが変わるでしょう。

 

4:35    哺乳類に固有な修正 (構造)

 

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スライド (Compassion、自閉症など様々な研究によって明らかになった哺乳類固有の特徴)

 

1 横隔膜 - 心臓と肺を下部の臓器から隔てている

2 二つの迷走神経の経路

 1 古い、ミエリン(神経繊維の軸索を包む物質)に包まれていない迷走神経。

   横隔膜に下部の臓器を調整する。

 2 哺乳類のミエリンに包まれた迷走神経。

   横隔膜上部の臓器を調整する。(心臓、肺)

3 ミエリンに包まれた*動脈血圧を感知する受容器 *baroceptor

4 分離した*耳の骨 *middle ear bones

5 副腎と腎臓からの個別の血液供給

6 副腎皮質の細胞の集まり 腎皮質

7 オキシトシン(子宮(平滑)筋の収縮を刺激するホルモン)とバソプレッシン(抗利尿ホルモン)個別の神経伝達物質と特殊な受容器

 

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上記の全てには触れません。

重要なポイントは爬虫類から哺乳類へ至る過程で神経系のシステムと生理機能に変更があり、末端構造の調整機能が変わったことです。

 

共感、自閉症などの分野の研究者によって哺乳類固有の特徴がわかりましたが、これらの試みは個々の側面を明らかにしただけで多くは全体像を掴むことができていません。

これらの全体像を示す重要な意味付けは以下です。

 

5:20

 

ミエリンに包まれた迷走神経を調整する脳幹と、顔の横紋筋を調整するいくつかの頭蓋神経の間の双方向的な相互作用が"顔 - 心" (face - heart)のつながりを生じています。これが、私たちの顔の筋の働きにより、ある意味で私たちが安全、安心になる"状態"の"入り口"となります。

これ(顔 - 心のつながり)は呼吸を通して動員され得ます。また顔の横紋筋へ働き、それらはミエリン鞘の迷走神経とつながり、私たちのストレス反応のスイッチを切ります。全ての防衛システムを落とし、私達が他人に対して近づき、従事することを可能にします。

 

6:05  Emergent Portal (創発的入り口)

 

代替方法に興味のある方々は、このシステムが介入への入り口を提供することに気づいたでしょう。

このシステムは発声によって自律神経系の状態を変えることができきます。歌や詠唱(chant)も同様です。生理的に深いレベルであれば、私たちは、発声、声の抑揚は他人に対して安全なこと、あるいは苦しみの中にいることを示したりするだけでなく、声が迷走神経系を刺激し、神経系が穏やかになることに気がつくでしょう。なぜなら発声は咽頭の神経 ( pharyngeal nerve) を振動させ、それがミエリンにつつまれた迷走神経系と(<曖昧>それにつながる内臓に)影響し、落ちつかせるでしょう。ミエリンに包まれた(mylinated vagus)迷走神経は哺乳類に固有で、顔を使うことによりアクセスすることができる。安全な場所で耳を傾けているときでさえ、情報を引っ張るために聞く能力は私たちを落ちつかせます。私たちの能力、特に顔の上部の部分を使うものは、私たちを落ちつかせます。

呼吸の吐気のとき、ミリオンに包まれた迷走神経は内臓に大きなインパクトを持ち、私たちを落ちつかせます。多くの瞑想法が呼吸に取り組みます。もちろん、姿勢-心の関係もこのシステムの引き金になります。

爬虫類から哺乳類への変化により、多くの入り口があります。

 

7:50  共感は防衛システムが働いていない状態を必要とする

 

私は共感の専門家ではありませんが、ある仮定をしてみましょう。思いやりを表す経験をするためには、防衛システムのスイッチを切ることを必要とします。

もし私たちがこのように仮定を置くならば、私たちはどのように感じ、友人や恋人、友達あるいは敵を決めているのか。

生理学、私たちの世界の知覚を色づけするものがあります。そのため、違った生理的な状態では、同じ刺激でも、それぞれの心理的経験とともに異なる生理的反応を引き起こす。

私たちの感情は生理的な状態に依存している。そしてこの生理的な状態は自律神経系で測ることができます。

この全体のモデルのユニークな点は自律神経系は末端のみのことではなく、脳とつながり、視覚、思考、表情の筋、聞くこと、認識、他人に対する反応は脳から身体へ下方へ伝達されうる、一方で身体は情報を上方へ送ることができます。胃の膨張、心臓の動悸などの情報は上方へ伝えられ、私たちの世界と関連づける能力の認識状態を変えます。

これは双方向的なものです。

迷走神経系は最初の入り口です。この80%の繊維は私達の身体の状態を読み、私たちの脳幹に情報を送ります。脳幹から大脳皮質まで放射状に広がりながら、私たちが昨日お話しした脳のエリアのための近接した有用性で。( in neighboring availability for the areas of the brain ...)

 

防衛はすべての哺乳類が古い神経系のシステムの上に新たに刷新した自律神経系のスイッチ、特に顔と心の関係を切ります。

人々が脅かされたり、大変な状態に置かれたり、痛みの中にいるとき、表情は空白で平坦なものになります。

私が言っていることは人の内臓の神経系調整の本当の理解のための入り口です。

多元検出器(嘘発見器)をかぶっているようなものです。

顔がフラットなとき心臓への神経系のトーンは減少します。

顔によく表情が出ている時、特に顔の上部で、迷走神経の活動は戻ります。

実際、このような生理があることを私たちは直感的に知っています。

 

思いやりはお互い振る舞いの防御システムがオフになっていることを要求します。お互いということに焦点を当てます。それぞれが共感し、他者を安全と感じ、近づき、直接的な接触をするために。

ここで本当の問題は私たちはどのようにお互いに近づくかです。誰かに近づくときに、私は本当にとても親切な人で、私は今これを義務でやっています、そうして私が近づくと、人は生物学的にそれは義務で愛情や共感ではないと理解し、なぜなら顔や動きがそれを反映しているので、そのターゲットだった人は安全を感じるというより、防衛的に反応するでしょう。

医療モデル、ヘルスケアモデルのデリバリングサービスは、人が暖かく、親切で愛情をもっていることを要求します。そうして標的の相手は、その種のサポートを受け入れるようになります。

 

11:20 多重迷走神経理論(Polyvagal Theory )

 

これらは全て多重迷走神経理論と呼ばれ発展された理論をもとにしています。これは自律神経系の系統進化的発達や変化を重要視しています。爬虫類から哺乳類への変化を重要視しています。

私たちはどんなタイプの爬虫類が実際に先祖だったのか理解しなければいけません。

それは基本的にカメ*1でした。ここにいる人が危険な状態になってシャットダウンした経験はないと思いますが、カメになったときは基本的になれなければいけないものです。

私たちがそれらの振る舞いや生理学的な結果を理解する必要があります。

 

このモデルの重要な点は系統進化的シフトではなく適応的生理学状態を提供する系統進化的シフトです。それは実際、違った振る舞いのためのニューロプラットホームです。一つの神経プラットフォームが安全をサポートし、別の神経プラットホームは危険のための防御システムをサポートします。第三の神経プラットフォームが差し迫った生命の危険に対処するのを可能にしています。生命の危険は危険とは異なります。危険は戦い、逃げる反応のための準備を要求します。生命の危険では私たちは選択肢を持ちません。私たちが逃げられない時、私たちの身体がどうするかというのをこれから見ていきます。

 

私たちは私たちがより人間の相互関係を満たし、健康、成長、回復を促進するために、そのシステムを理解する必要があります。

 

13:00  The Polyvagal Theory

 

多重迷走神経理論には3つの重要なポイントがあります。

 

第一に、進化は人の自律神経系の神経調整 ー 積極的な社会的振る舞いを可能にしている ー を理解するための組織化された原則を提供していること。

 

3つの神経回路は進化系統学的な順序の反応階層を形成する。基本的により高次の神経系を最初に用いる。(*具体例、本の話?省略)安全な環境では一番新しい神経系を使い、危険を感知すると古い神経系へと移っていきます。

これらはそれぞれの環境で順応的な反応を提供します。

 

どのように神経系がそれを知るのか。

(具体例)

それは知覚の反応ではありません。私は新しい言葉を使います。ニューロセプション(Neuroception) 。身体が危険を見つける能力のことです。認識(awareness)の外の領域です。これが危険を見つける時、私たちは違った状態へ移行します。

 

みなさんは友人がいますが、彼らは集団でこのように中にいる、彼らは話せない。

なぜならニューロセプションが脅かされているようにみているからです。彼らは失神するかもしれない。他の人達は声を調節できず、高い声かもしれない、戦うか逃げるか状態であるので。

他の人はより愛嬌(engaging)があるでしょう、そこにそのような顔を見ることができますが。。実際フィードバックが必要です。(engaging)とても難しいです。ビデオ送ればよかった。

しかし、ニューロセプションは本当に私たちの身体がするものです。

そして私たちは双方向的な相互の関係によって対処する関係を発展させました。

どのようにそれは私たちの生理的な状態、他人の生理的な状態を変えるのでしょうか。

 

15:30  The Quest for safety 安全のための探求

 

これは理論全体のとてもシンプルな要約です。

私たちは外側の世界、内側の生理的な状態から手がかりを得ます。神経系が解釈します。

これは認識、意識的なものではありません。

これは神経受容的(neuroceptic)反応です。これ基本的に違った生理的状態を引き起こします。

それは私たちを安全な状態に置き、その状態で私たちは自然に他者に対して関わることができます。

私たちが表情で表現することができ、それをするなら、内臓の恒常性をサポートします。私たちの健康をサポートします。

これは私たちが話していることで他人との交わりでリラックスしている。本当に生理的な状態を他人に対して使っているのは相互のやりとりの中です。これによりあなたの調整を助けます。

 

さて、もし神経系のシステムが安全でない特徴を検知したら、神経系は動きだす準備します、筋のトーンを増し、動悸が早くなり、迷走神経のトーンは引っ込められます。こうして今、あなたは逃げるか戦うか反応 ( fight flight behavior)  の準備をしました。

ほとんどの学者の生活はこの状態です。

 

本当の社会の問題はどのように人を動かしているかです。人々を生産的に働かせるために。研究をし、データを集めます。彼らがシャットダウンするまでに、どのくらいの圧力を彼らに加えられるのか。

これはただの比喩ですが、社会は常に人々に圧力を加えます。その限界まで。

神経系は要求をそのように検知し、あるいはただ止り、その人はただ圧倒されます。

 

私たちが理解しなければならないのは、私たちは緊急に備える動きを抑えなければいけません。人々を安全な状態に置くことによって。私たちがこの安全な状態のとき、他者に関わり、私たちは創造的で、想像力に富み、新しいアイデアを発展させられます。

 

17:30 Phylogenetic Organization of  The ANS  (自律神経系の系統進化的組織化)

 

(お水)

ありがとう。ここに社会的振る舞いが見られたのは嬉しいですね。(会場笑い)今随分心地よくなりました。

 

ここにいるみなさんは解剖学が好きですね。これは解剖学のレッスンです。(会場笑い)

身体は3つの構造をもっています。頭、内臓、胴体と四肢です。

多重迷走神経理論では基本的に、系統進化的は私たちを内臓として刺激する。基本的に二つの古い迷走神経。それはミエリンに包まれていない迷走神経(unmylinated vagus)、それは本当に横隔膜の下方の内臓を調整しますが、まだ横隔膜上部の心臓などの内臓にも影響を持っています。

 

18:20 猫のスライド

 

私達はその効果を見ることができます。このネズミは死んでいるのでしょうか。多分違います。生命の危険の反応を起こしています。私たちはこれを死んだふりと呼んでいます。

ネズミの認知は、ぼくは死んだ振りをしているんだよと言うでしょうか。基本的にネズミは意識を失っています。筋のトーンを失います、この指導者のように。

しかし、私たちが意識を失った人に見ることができるこの生理学的反応は、生命の危険に直面し、逃げられない、身体の大きさがかなり違うので戦いが有効でない、これは虐待やレイプ、そのような人々が逃げられず選択肢を持たない状況と大いに関係があります。

進化系統的に私たちは他の自律神経系を発達させてきました。ひとつは動き、私たちが戦い、逃げることを可能にしました。ついに哺乳類は独自の他の自律神経系を手に入れました。ミエリンに包ませた迷走神経です。脳幹の部分に繋がり、全ての顔と頭の横紋筋をコントロールします、また大脳皮質との多くのつながりをもっています。

 

19:45 親子の写真 Social engagement (社会的関わり)

 

このシステムが人々が相互にやりとりするのを可能にしています。顔の上部を調整し、多他者に近づいても安全あることを示すことを可能にしています。そしてこれは内臓に大きな影響を持ちます。他の哺乳類を使わなければいけない哺乳類が協力的な生活を育み、他者を安全であると感じ、機能することを可能にします。

 

20:00  A Neural Love Code

 

これらの写真を見たとき、私たちは確かな顔と顔の交流をみることができます。

私たちは顔の上部、目の周囲の筋をみたとき、しわが見えます。それはまた、中耳の筋が緊張していることを示しています。これにより、捕食者への反応を引き起こす低い周波数の音に対する反応を切って他の人の声をとてもよく聞くことができます。

これらの写真にみられる状態にあるとき、捕食者への警戒を切っています。

 

生理的状態の調整にとても重要な相互の全体のアイデアというは、独自のアイデアではありません。マイロリン・ホーファー(<曖昧>人名)は数十年前からこのことについて話しています。

 

21:00 親子の写真

 

母と子の相互の交流がそれぞれが心地よく安全に感じるのを助けるのを見ることができます。

しかし、これは人間の反応に限ったことではあいません。

 

私たちがこのコアラの写真を見たとき、私たちの生理的反応がどのようであるか、私たちは同様の暖かさ、共感、感情、安全を感じるでしょうか。

これは火事のあとに救出されたコアラです。手を取って、目を合わせ、顔と顔、種を超えての共感、従事を見ることができます。

 

最初のポイントは、私たちが話していた神経の愛情コード(neuro love code) は最初の段階になるでしょう。それは顔と顔の交流の重要性です。それは最初の部分の話に過ぎず、顔と顔の交流はこのお互いを結びつけるための考えです。顔や頭の横紋筋を調整する神経の経路とともに頭蓋神経をテント状に覆う(<曖昧>)迷走神経。これは統合された社会的従事のシステムをもたらします。これははっきりと組織化されていて、なぜなら横紋筋を調整する脳幹の柱はそれらの違った頭蓋神経から出ています。これらの頭蓋神経を記憶するとき、それらの柱は脳幹から来ているのに気がつく、それらはただ脳幹から出てきます。

これは実際統合されたシステムです。スペシャルビセラルエファレント( special visceral effrent ) と呼ばれます。

 

22:30 Immobilization without Fear (恐れなしの動けない状態)

 

私たちは今恐れなしで動けない状態を見ることができます。

 

私たちは再び種を超えての共有性をみることができます、

 

あなたがこのカバの赤ちゃんとカメの写真を見る時、何を見ていますか。あなたはカバの顔を見ています、なぜなら(表情の)筋はあなたのニューロセプションに同様の手がかりを与えています。その動物が安全だという。

 

さて私たちは第2の段階に入ります。

愛情のコード、恐れによる静止(immobilization)なしの直接的な接触の重要性です。動けない反応を取り、生命の危険から連れ去り、それ(直接的な接触)を使い、健康、回復を育みます。

~~は(<聞き取れず>)まだ少ししかお話してません、オキシトシンがこの段階では含まれるからです。

社会的従事のシステムが働いているときにこの直接的接触が可能になります。これなしでは脅威の体験、生命の危険の体験を引き起こします。

 

私たちは社会的なサポート、ケアをただ与えることはできません、受け取り人がそれを安全に感じていなければならないという理解なしに。

 

社会的従事と恐れなしの静止は思いやりや共感的振る舞いの特徴です。これは少なくとも私の意見です。心配、見方(worries perspective)です。

 

身体の感覚は私たちの他者への認識に影響し、自発的な社会的従事の振る舞いや共感の感情を有効にするか、あるいは防衛的反応や判断的な感情とともに、それらの振る舞いや共感を追放します。

 

このように私が私の考えやモデルを捉えるのを押し進める場に招待されたことをとても感謝しています。どのようにより現代の研究、思いやりの観点に合うか見ることができました。

私は最後の2つの言説を残しました。

これは私の定義であり、全ての思いやりの定義を一般化するものではありません。しかし系統発生的観点から

 

思いやりは私たちが他者と関与し、結びつくことの必要性の現れである。

思いやりは他者の近くで安全でいるための私たちの生物的な探求の構成要素である。

 

Thank you (拍手)

 

 

 

*1:要確認。。